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手描き武者のぼり制作いわき絵のぼり吉田 三代目絵師辰昇

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江戸期の絵のぼり収集記

辰昇コレクション~江戸時代の五月幟(節句幟、武者絵のぼり)

忘れられた「江戸期の大型民衆絵画」絵のぼり(節句(のぼり)/五月(のぼり)/武者のぼり/矢旗(やばた))。
男児の健やかな成長を願い描かれた世界を紹介します。
腕の立つ浮世絵師や画家の描いた例も少なくありません。絵師辰昇(しんしょう)収集品よりご紹介。

▽古作の武者絵のぼり各種

16.朱鍾馗図(しゅしょうきず)座敷幟(ざしきのぼり) 狩野永信(ながのぶ) 非売品

朱鍾馗図座敷幟 狩野玉円永信
朱鍾馗図座敷幟 狩野玉円永信 疱瘡絵01
  • 題名:朱鍾馗図座敷幟
  • 時代:江戸後期
  • 産地:江戸(東京)
  • 作者:狩野永信
  • 素材:縮緬
  • 技法:肉筆(手描き)
  • 寸法:約104×約42cm
  • 所蔵:いわき絵のぼり吉田 ※現在は掛け軸に仕立て直されている

もとは江戸時代の節句祝いの小型絵のぼりが、近年になって掛け軸に直された

朱鍾馗図座敷幟 狩野玉円永信 疱瘡絵02

元々のぼり旗だった日焼けの痕跡を分かりやすくするために、コントラストを上げた画像
上部と右側にのぼり旗の輪の跡、左下に三角形の補強布の跡があるのが分かるでしょうか?

朱鍾馗図座敷幟 狩野玉円永信 疱瘡絵03

肉眼でも、もともと「竿を通す輪」が付けられていた日焼けの痕跡がわかります。

縮緬に描かれた朱色の鍾馗図 – 江戸後期の座敷幟(現在は掛け軸)

こちらは縮緬に朱色の鍾馗図が描かれた、江戸後期の室内用小型絵のぼり(座敷幟)です。
御覧の通り、現在では掛け軸となっている本作。
しかしながら、上部と右側に輪を外した日焼け跡があることから、制作当初は幟旗として制作されていたことが分かります。
また、左下にも三角形の補強布の痕跡があります。
この改変は、後世の人が日常の鑑賞用に、小型の幟旗を掛け軸に仕立て直したものです。
実は、このように掛け軸に直されている室内用絵のぼりの例は珍しくありません。

狩野派表絵師、狩野玉円永信

朱鍾馗図座敷幟 狩野玉円永信 疱瘡絵04
朱鍾馗図座敷幟 狩野玉円永信 疱瘡絵05

御徒士町狩野派による、武家の初節句用の朱鍾馗図

この絵の作者は、狩野玉円永信(文化13年-明治13年/1816-1880)。
実は御徒士町狩野家の七代目当主として、表絵師を務めていた方だった事が分かっています。
“表絵師”とは、江戸幕府の御用絵師である“奥絵師”を補佐する役割を担った職位です。
したがって、本作もおそらく武家の端午節句に使用するために制作されたものでしょう。

流行り病である疱瘡(天然痘)に子供が罹らぬよう祈願した絵

ところで、この朱一色の鍾馗様は、当時流行していた疱瘡(天然痘)除けの題材として多く描かれました。
男児が流行り病にかからず、健やかに育つことを祈念したものです。
こういった作品を通じて、当時の社会情勢をうかがい知ることができます。

参考:浮世絵にも描かれた座敷幟(ざしきのぼり)

喜多川歌麿 端午節句図 疱瘡絵 鍾馗 幟絵

引用:喜多川歌麿「端午節句」1803年

浮世絵に見る朱色で描かれた鍾馗様

上記は喜多川歌麿による浮世絵で、端午節句の様子が描かれています。
お座敷には朱色の鍾馗図幟が飾られており、狩野永信による本作も、おそらくこの浮世絵と同じように飾られていたことでしょう。
江戸~明治期には、人々にとって天然痘が身近な脅威として存在しており、このように願掛けとして朱色で描かれた絵が数多く制作されました。

いわき絵のぼり吉田 絵師辰昇(しんしょう)

→Wikipedia疱瘡神のページを見る

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あとがき

祈りの大型民衆絵画

幕末の端午節句
幕末の端午節句図。アシェット社銅版画。
絵のぼり吉田蔵

絵のぼり(節句のぼり)は大名から庶民まで親しまれてきたため、世に残った作品は雑多です。
その本質は絵馬とおなじように、祈りの民衆絵画。
絵のぼりがユニークな点は、数百年間の作品全てが「男児成長祈願」のテーマで制作され、時代の空気を反映していること。

江戸期絵のぼりは、今後の調査に期待

古い絵のぼりは在野に埋もれ、近年まで研究されませんでした。
しばらく収集を続けていると、絵馬とおなじく大勢の絵師が手がけていたことが分かります。
浮世絵師などによる肉筆画が、それと知られず現在も埋もれているため、今後の調査には期待が高まります。

さらにご興味ある方は、収集家北村勝史(よしちか)氏の著作をご参照ください。

いわき絵のぼり吉田 絵師辰昇(しんしょう)

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[伝統的な庭飾り]
端午節句の空を彩る勇壮な絵のぼりは、人生の門出にふさわしい旗印です。

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[格調高く身近な室内用]
お子様の成長を見守る守護神として。取り扱いが簡単で若い方に好評です。
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